ライティング実習2A 12組

2024年度 前期 木03 13:30-15:00 瀬田3-B104

インターネットコミュニケーションと情報倫理、情報収集

情報収集

媒体即時性情報検索の容易さ参照性※信頼性判断
一般書籍比較的低い比較的高い容易難しい
一般雑誌比較的高い比較的高い容易難しい
専門書・学術雑誌低い比較的高い容易信頼性高い
テレビ・ラジオ高い低い難しい難しい
インターネット非常に高い非常に高い容易だが、永続性に欠ける非常に難しい

※後からどこでその情報を得たか、指示すること

情報収集:課題

どの媒体を使うのがふさわしいだろうか?媒体ごとのメリット・デメリットを考えてみよう

  1. パソコン使用中に意味の分からないエラーメッセージが出て、使えなくなってしまった。対処方法を知りたい。
    • -よほど頻出のエラーメッセージに関しては情報を得られる可能性はある
    • -書籍よりはタイムリーな情報を得られる可能性はある
    • -エラーメッセージを学術的に取り上げることはまずない
    • -たまたま番組でよほど何らかのエラーメッセージが話題になるケースがゼロとは言わないが、まずない
    • -タイムリーかつピンポイントで情報が得られる可能性が高い
  2. 卒業論文を書くにあたり対象となる最新の研究動向を把握したい。
    • -通説および俗説は得られるが最新の研究に関する有益な情報はほぼ得られない
    • -通説および俗説は得られるが最新の研究に関する有益な情報はほぼ得られない
    • -通説および俗説は得られるが最新の研究に関する有益な情報はほぼ得られない
    • -リスクは高いが、最新の情報を得られる可能性はある
  3. ここ数日に起こった出来事についてそれにまつわる社会・文化・政治的な状況を把握したい。
    • -ここ数日のことは書籍出版には間に合わない
    • -週刊誌ならタイムリーに特集がある可能性がある
    • -ここ数日のことは学問手続き上間に合わない
    • -タイムリーな情報を得られる可能性はある
    • -もっとも効率的に情報を得られる可能性が高い

情報発信・コミュニケーション

ツール公開範囲検索エンジン匿名性
メールクローズド×実名原則
LINEクローズド×実名・ハンドル(ニックネーム)
mixi記事ごとに指定×実名推奨
facebook記事ごとに指定実名原則
twitterアカウントごとに指定実名・ハンドル
ブログ基本公開だが、閲覧制限も可能実名・ハンドル
掲示板基本公開だが、閲覧制限も可能実名・ハンドル・匿名
ウェブサイト基本公開だが、閲覧制限も可能実名・ハンドル・匿名
  • 「顕名」性を意識せよ(匿名での言い捨ては無責任。最低限「恥をかく」程度の責任は負うべきである)。
  • 悪質な言動を行った場合には実生活でも責任を追及される場合がある(cf. 事例集)。
    近年では特に犯罪に絡む場合の他、差別扇動に荷担する発言(ヘイトスピーチ)も断固たる責任を問われる。

※「フェイス・トゥ・フェイスで話をしたい」と言われて逃げなければならないようなことはネットでもいうべきではない。

情報発信・コミュニケーション:課題

ツールの使い分け

以下の目的に対して、どのツールを使うのが良いか。使用可能なツールをすべて選択せよ。

  1. 家族内の連絡ツールとして使いたい。
    • -今積極的に使うかはともかく、使えるには使える
    • -ここまで閉じた使い方はあまりしない
    • -ここまで閉じた使い方はあまりしない
    • -ここまで閉じた使い方はあまりしない
    • -ここまで閉じた使い方はあまりしない
  2. 自分の趣味について、幅広く同好の士を募り、その内容を語り合いたい。
    • -メールで「幅広く」人を募るのは難しい
    • -やってたりする?私はちょっと分からない
    • -今は流行らないが、かつては好んで使われた
    • -今は流行らないが、かつては好んで使われた
  3. 内輪のサークル内で語り合いたい。
    • -今は流行らないが、メーリングリストを使えば可能
    • -全員が鍵アカウントにしないと外部から部分的に見られる
    • -アクセス制御すれば可能
    • -アクセス制御すれば可能
  4. 広く知られた出来事についていろいろな人と意見交換をしたい。
    • -メールで「いろいろな人」と出会うのは難しい
    • -出来るの?私はちょっと分からない
    • -今は流行らないが、かつては好んで使われた
    • -今は流行らないが、かつては好んで使われた
  5. 専門的な内容について、質問をしたりして詳細な情報を手に入れたい。
    • -人脈があれば
    • -人脈があれば
    • -今は流行らないが、かつては好んで使われた
    • -今は流行らないが、かつては好んで使われた
  6. 授業の連絡網として使いたい。
    • -メーリングリストを使えば
    • -全員が鍵アカウントにしないとややこしいので個人的にはお勧めしない
    • -アクセス制御すれば
    • -アクセス制御すれば
情報発信するときの規範(マナーではない)

「ヘイトスピーチ」は「憎悪表現」と訳されるが、この訳語ではこの言葉の持つ本来の意味から消し去られてしまう要素がある。それは何か。「ヘイトスピーチ」がなぜ社会的に許されないのかを踏まえて説明せよ。

日本語における「憎悪」とは個人間の感情の問題に還元されてしまう可能性がある。「hate speech」は本来「差別扇動」という訳語が当てられるべきであった。「差別」とは社会的な格差・権力勾配を含みこんだ概念であり、対等な個人の関係性には還元され得ない、社会的な問題を含む。そして権力勾配においてより上位にいる者(社会集団)が下位にいる者(社会集団)に対する攻撃を煽る言動を行うことは攻撃される者の生命をも危険にさらし、社会をその土台から破壊する恐れを含んでいる。

ヒトラー・ゲッベルスのユダヤ人に対する「宣伝」、ルワンダ虐殺における「千の丘ラジオ」を参照せよ。ヘイトスピーチを行う者は間接的・潜在的な虐殺者である。

情報の信頼性

詐欺、および扇動・世論誘導

  • 情報の発信者(個人・団体)、発信日時。特に匿名からの情報には注意。
  • 情報発信メディア、特にインターネットの場合なりすましにも注意(アドレスは正当なものか?)
  • 複数の情報を参照・照合
  • 学問的手法との適合性(当該情報に関する専門学会の主流意見を参照せよ)
  • 己(個人)の判断力を過大評価してはいけない。

※学問的「手続き」(学術的方法)の重要性=大学で学ぶ意義

トップレベルドメイン

ac.jp、edu大学などの高等教育機関
ed.jp教育機関一般
co.jp企業
go.jp、gov政府、行政機関

学問的・科学的「正しさ」とは何か?

あなたが歴史上のある「出来事」(ex.山崎の合戦)を「実在」したと見なすとき、その根拠はどこにあるか。その根拠(信頼)が社会的に形作られる過程を考察せよ。

「歴史修正主義」とどう向き合うか?
  1. アウシュビッツ「捏造」論をどう判断するか、その判断基準をどこに置くべきか?
  2. 南京虐殺事件の「実在論争」をどう判断するか、その判断基準をどこに置くべきか?

※歴史修正主義とは学術的に確立された知見を特定の政治的意図を持って転覆させようとする運動である。

歴史修正主義をもう少し詳しく知るために

映画から入る、というのも悪くない選択である。

「顔のないヒトラーたち」(Youtube)

そりゃ「アウシュビッツ」なんて議論の余地無く「あった」んでしょ?日本の南京事件とは比較できない、などと言う人がいたりする。しかしアウシュビッツは自明のものとして近代ドイツ史にその存在が刻まれていたわけではなかった。ナチスドイツは敗戦間際にその存在の隠蔽を図り、戦後ドイツもその存在を明るみに出そうとはしなかった。しかしナチスドイツの犯罪を明るみに出さねばならないと信念を持って動いた人たちがいて、今があるのだ。

「否定と肯定」(Youtube)

歴史修正主義を巡る名誉毀損事件の顛末を描いた作品。歴史修正主義を映画で勉強するならまずはこれ。

情報の信頼性:課題

  1. 歴史上のある「出来事」が「実在」したかどうかあなたが判断するとき、その判断はどのように行うのが適切か。判断の仕方として不適切なものをすべて選択せよ(選択必須)

  2. 「歴史修正主義」に社会はどう対処するべきか(受け入れるか、排除するか)、以下のキーワードを用いて、簡潔に論じよ。(入力必須)

    キーワード
    • 歴史修正主義
    • 学術的方法
    • 政治的立場

    「歴史修正主義」とは端的に言って「デマ」である。

    例えば「コーラを一日1リットル飲めば新型ウィルスには感染しない」という「説」を唱えた者がいるとしよう。もちろん「デマ」である。そのようなデマをいちいち「両論併記」することに理があるだろうか?「歴史修正主義も一つの【説】として尊重し、両論併記すべきだ」という主張も同列である。

    「コーラを一日1リットル飲めば新型ウィルスには感染しない」のがデマである、という判断にあなた自身の経験や知見は意味を持つだろうか?このことをデマであると確信するために、あなたがコーラ一日1リットル飲む必要は無い(逆に飲んでも何の意味も無い)。あなた個人の経験・知見には何の意味も無い。そうではなくてそれは科学的な手続きによって、そう判断されるのであって、あなたが判断する前に事実としてそうなのである。その手続きをあなたが深く理解できれば良いが、理解できるとは限らないし、理解できなければならないわけでもない。あなたはただそれが専門家集団によってこれまで作られてきた実績を信用し、その趣旨を表面的に知れば十分だ。

    もちろん歴史学においても同じなのだ。「アウシュビッツはユダヤ人のでっち上げである」「1937年の南京は平静を保っていた」などとという主張は、あなた個人がどう判断しようと、デマなのだ。それは近代史学の世界で完全に否定されている(もちろんそのために数多の資料や証言を精査してその結論が下されたのだ)。「両論併記」論はオカルトの類いを学校の教科書に書き込めと要求するようなものだ。両論併記は中立でもなければもちろん公正でもない。デマを正当な居場所を与えよと要求する、デマへの加担である。

    では何故そのようなデマを吹聴する輩がいるのだろうか。それはヘイトスピーチ(差別扇動)をする者がいるのと同じである。もっといえば歴史修正主義はヘイトスピーチの一形態なのだ。「歴史修正主義」は、過去に耐えがたい被害を受けた人々の歴史を葬り、その人々の尊厳を踏みにじり、その記憶を語り継ぐ者たちを侮蔑し、抹殺する差別扇動に他ならない。歴史修正主義はまさにそのため(他者を踏みにじるため)に主張される。歴史修正主義に加担する者、それを容認する者(両論併記を認める者を含む)は差別扇動を行っているのだ。

    歴史修正主義学術的方法によって厳密に決着の付いた歴史学的事実を、歪んだ政治的立場によって恣意的・一方的に覆し、差別扇動を行うためのイデオロギーである。そのようなデマゴギーを社会がいささかでも受容することはマイノリティの尊厳を踏みにじり、社会を分断・破壊する結果を招きかねない重要な過ちであり、決して許されることではない。

    1. 学術的正しさは「多数決」によって決せられるものではない。
    2. 学術的正しさは「政府見解」とは独立している。政府がデマを採択することは理論的にも現実的にもあり得る。それでもデマはデマである。

引用について

引用出典を明示地の文と引用箇所の区分が明確地の文が主であること許可不要
転載出典を明示地の文と転載箇所の区分が明確転載部分が主著作権者の許可が必要
剽窃出典を書かないか明示していない区分が不明確

※引用の適切な仕方

事例集

個人情報流出

※発信内容をつなぎ合わせることにより、発信者個人属性を突き止めることは容易(事例:【Twitter実験】つぶやきだけで個人を特定できるのか? | オモコロ

※一度流出した情報は回収困難(ほぼ不可能)

うかつな投稿・炎上

※「うかつな」情報発信とその情報発信者の特定により「炎上」、実生活への悪影響

※対象に対してネガティブな言及には特に注意すること

情報の信頼性

※元情報(ソース)は常に確認すること。発信元、日付、その他諸々要チェック。

「ステマ」

煽り・世論誘導

「犯人捜し」とネット私刑
スマイリー菊池氏に関する噂の流布
イラク人質事件を巡る噂の流布
情報操作

とりわけ2chに代表される匿名掲示板は世論誘導・扇動に利用されてきた経緯がある。

※間違った情報に騙されること、そして自らがその扇動に荷担することがないよう、常に慎重に発信すること。

ヘイトスピーチ(差別扇動)

※(多くの場合匿名性の影で)社会を分断し、他者の尊厳を一方的に踏みにじる行為であり、許されない。学生がSNSでヘイトスピーチをまき散らし、処分されることも近年増えている。

インターネット検索のコツ

検索エンジン(Google)の活用

AND検索
キーワードをスペースでつなげる:「キーワード1 キーワード1」()
OR検索
キーワードを「OR」で挟む:「キーワード1 OR キーワード2」()
NOT検索
除外したいキーワードの前に「-(マイナス)」を付ける:「-キーワード」()
曖昧検索
うろ覚えのタームを入力しても正しいと思われるタームに補正して検索される()
完全一致(曖昧検索をしない)
キーワードを""で囲む:「"キーワード"」()
その他Googleの便利機能
  • 計算機:ex.「1+1」で検索する()
  • 翻訳(cf. 翻訳に関してはDeepLの方が精度が高いようだ)
  • 有名人の氏名 誕生日()

Web検索実習

以下の問いに対して、インターネットを用いて情報検索し、解答せよ。検索時に用いたキーワードと情報を得たサイトのアドレス(複数のサイト情報を組み合わせた場合、すべてのアドレス)も記載せよ。

Web検索課題1
南朝方の主力として活動し、正四位下左近衛中将に叙任され、福井で戦死した源姓の武将は誰か。

新田義貞

Web検索課題2
日本国内で長い吊り橋といえば明石海峡大橋をトップに中国地方・四国・淡路島に集中している。それ以外の場所にある最長の吊り橋は何か。

白鳥大橋

Web検索課題3
学名と英語名が等しく、その種子から取れる油が高級品として食用ほかで用いられる植物は何か。

つばき(Camellia japonica)

Web検索課題4
名前に「京都」が付く大学を10個挙げよ。

検索キーワード:「京都 大学 -京都大学」(京都大学がヒットしすぎるのを抑制する)

Web検索実習5
西暦600年に倭(日本)は中国の隋に遣隋使を派遣した。このときのやりとりに日本は中国(隋)の元号ではなく、日本の元号を用いたと主張する者がいる。真偽を判定せよ。

日本初の元号は「大化」であり、西暦645年。遣隋使を初めて派遣したのは西暦600年。というわけで竹田恒泰大先生がどうおっしゃろうともデマです。

Web検索実習6
ずっと白熱灯の電球を使っていた部屋の灯りをLED電球に交換した。ところがLED電球をソケットに刺すとスイッチをオフにしているにもかかわらずうっすらと電球が光り続けてしまう。その原因として考えられるものは何か。ネットで検索して、考えられる原因を調べ、簡潔に説明せよ。

白熱灯よりLED電球はずっと微弱な電流でも光る。元々白熱灯を使っていたソケットに微弱な電流が流れていたとすると(蛍スイッチなど)、LED電球は白熱電球より抵抗が弱いため、電流が流れ、光ることがある。

Web検索課題7
下記文章をインターネット翻訳サイト(google/DeepLなど)を用いて日本語に翻訳せよ(翻訳結果の妥当性は問わない。翻訳が日本語として読みづらくても構わない)。

Ein Blick in die Berufsstatistik eines konfessionell gemischten Landes pflegt mit auffallender Häufigkeit eine Erscheinung zu zeigen, welche mehrfach in der katholischen Presse und Literatur und auf den Katholikentagen Deutschlands lebhaft erörtert worden ist: den ganz vorwiegend protestantischen Charakter des Kapitalbesitzes und Unternehmertums sowohl, wie der oberen gelernten Schichten der Arbeiterschaft, namentlich aber des höheren technisch oder kaufmännisch vorgebildeten Personals der modernen Unternehmungen.