ライティング実習2B

2021年度 後期 木03 13:30-15:00 瀬田6-B108R

研究方法の選択(p.128-,p.192-)

主張→エビデンス

論文で論じたい「主張」をデータで裏付けるためにはデータから論証可能な「論点」を定める必要がある。なにが論証されれば、「主張」が成立するだろうか。

その「論点」を裏付けるためにはどのような研究(調査)方法が選べるだろうか?その中で自分がやれる、やりたい研究方法が含まれているだろうか?

研究方法が定まれば、どのように調査を進めていくのか、具体的に考えていこう。

参考:「主張を根拠で支える」(再掲)

主張

←主張

論点

Why so?

調査
データ

調査
データ

論点

調査
データ

調査
データ

←エビデンス

研究方法
  • 量的調査(主として定量分析)
    • 調査データ(アンケート調査など)
    • 既存・公開データ
  • 質的調査(主として定性分析)
    • 調査データ(聞き取り調査・参与観察など)
    • 書かれたもの・その他表現されたもの(新聞・雑誌・小説・マンガ・映画・音楽など)—ドキュメント分析(テキストの言う「文献研究」)

課題

  1. 以下の文章から「主張」を引き出せ。
  2. 主張を論証するためには何を「論点」とすればよいか。
  3. その「論点」(問い)の答えを示すために必要なエヴィデンスとしてはどのようなものが必要か。
  4. このときの研究方法は何か(実証・理論)。
  • 雑ぱくな感想文ではなく「論文」にするためには、主張とその論証手段を明確にする必要がある。

例題

大学生は、学問のほかに部活動やサークルに所属し、そうでない人たちもさまざまな活動や遊びなどの行動範囲が増えていく時期である。そういった課外活動などの連絡網には、PCやガラケーよりも使い勝手のよいスマホが必要不可欠になってくる。なぜなら急な予定の変更や、事前の連絡などを大勢に一度にまとめて知らせることができ、さらに受け手もそれに対応しやすくなるからだ。大人数を一度に動かせてしまうものなので、これほど便利なものはないだろう。

主張

大学生は、学問のほかに部活動やサークルに所属し、そうでない人たちもさまざまな活動や遊びなどの行動範囲が増えていく時期である。そういった課外活動などの連絡網には、PCやガラケーよりも使い勝手のよいスマホが必要不可欠になってくる。なぜなら急な予定の変更や、事前の連絡などを大勢に一度にまとめて知らせることができ、さらに受け手もそれに対応しやすくなるからだ。大人数を一度に動かせてしまうものなので、これほど便利なものはないだろう。

主張:大学生活を送る上ではPCやフィーチャーフォンよりもスマートフォンが必要である。

論点とエビデンス
論点
スマートフォン普及前後で大学生活はどう変化したか?
エヴィデンスと研究方法
  1. 大学生活に関するアンケート調査(通時的データ)-量的調査
  2. スマートフォン利用に関する聞き取り調査-質的調査

問1

スマートフォンの利用は、大学生に様々な影響を与えている。その多様な機能により、スマートフォンに依存している大学生も多い。スマートフォンの依存により、歩きスマホや長時間利用により、視力の低下や睡眠不足などのさまざまな悪影響を与えている。

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スマートフォンの利用は、大学生に様々な影響を与えている。その多様な機能により、スマートフォンに依存している大学生も多い。スマートフォンの依存により、歩きスマホや長時間利用により、視力の低下や睡眠不足などのさまざまな悪影響を与えている。

主張
スマートフォンを利用することで多くの大学生に健康上の悪影響が生じている
根拠
論点
スマートフォン普及前後で大学生の健康状態は変化したか
エヴィデンスと研究方法
  • 大学生の健康状態についての通時的資料(データ)とその評価-量的調査
  • 大学生の健康状態についての(利用時間などによる)群別資料(データ)とその評価-量的調査
  • 大学生を対象とした健康に関するアンケート調査-量的調査

問2

スマートフォンの利用によって大学生のつながりを様々な方向へと広げている。それはやはり、Twitter、LINE、Facebook、などSNSの出現によるものであると思う。これによって、趣味の合う友達ができたり、また、SNSで連絡を取り、多くの友達と関係を続けることができたりする。このように良いこともあるのだが、大学生のネットビジネスの勧誘でだまされたり、SNSへの無責任な投稿によって事件になったりする。私は、良い影響も悪い影響もあると考え、よりよい判断が常にスマートフォンには必要であると考える。

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スマートフォンの利用によって大学生のつながりを様々な方向へと広げている。それはやはり、Twitter、LINE、Facebook、などSNSの出現によるものであると思う。これによって、趣味の合う友達ができたり、また、SNSで連絡を取り、多くの友達と関係を続けることができたりする。このように良いこともあるのだが、大学生のネットビジネスの勧誘でだまされたり、SNSへの無責任な投稿によって事件になったりする。私は、良い影響も悪い影響もあると考え、よりよい判断が常にスマートフォンには必要であると考える。

主張
スマートフォンの利用によって大学生のつながりが広がっている。
根拠
論点
スマートフォンが人間関係の広がりに影響を与えているのか
エヴィデンスと研究方法
  1. スマートフォンでSNSをどれくらい使用しているかのアンケート調査-量的調査
  2. SNSを通じて出会った人とどのように交流し、どう思ったかの聞き取り-質的調査

問3

スマートフォンは大学生にコミュニケーション能力の低下をさせてしまう影響がある。主体的にみて、大半の大学生がスマートフォンを所持しており、講義や予定を立てる際の連絡手段はスマートフォンのLINEというアプリがよく使われており、複数での連絡手段においても最も便利なものである。だがそれが原因となり、言葉を交わすことのない文字だけのコミュニケーションのやりとりが習慣化されている。

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スマートフォンは大学生にコミュニケーション能力の低下をさせてしまう影響がある。主体的にみて、大半の大学生がスマートフォンを所持しており、講義や予定を立てる際の連絡手段はスマートフォンのLINEというアプリがよく使われており、複数での連絡手段においても最も便利なものである。だがそれが原因となり、言葉を交わすことのない文字だけのコミュニケーションのやりとりが習慣化されている。

主張
スマートフォンの利用が広まることで、大学生のコミュニケーションスキルは低下している。
根拠
論点
スマホの普及に伴うコミュニケーションの変化とは?
エヴィデンスと研究方法
  1. コミュニケーションの低下を直接話す機会の減少と定義する-理論研究
  2. LINEによる連絡頻度の増減-量的調査
  3. 大学生のLINEに関する聞き取り調査-質的調査

問4

大学生とスマートフォンは主にSNSでつながっていると思う。連絡手段もLINEとかでするし、話題もSNSで話題のことをよく話す。SNSでのつながりは大きいし、現代の友好関係を作る手段としても重要である。

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大学生とスマートフォンは主にSNSでつながっていると思う。連絡手段もLINEとかでするし、話題もSNSで話題のことをよく話す。SNSでのつながりは大きいし、現代の友好関係を作る手段としても重要である。

主張
大学生が友人関係を形成する上でSNSは大きな役割を果たしている
根拠
論点

SNSは大学生活においてどのような役割を果たしているか

エヴィデンスと研究方法
  • SNSを積極的に活用している学生の聞き取り調査-質的調査
  • SNSをあまり活用していない学生の聞き取り調査-質的調査

問5

スマートフォンが大学生に与える影響はスマートフォンでのSNSの利用が学力低下につながりかねないということである。SNSはいつだれとでも会話を楽しめ、暇つぶしとしても有効である。そのことにより、大学生が講義中に「暇」だと考えてしまえば、すぐに使用してしまう。

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スマートフォンが大学生に与える影響はスマートフォンでのSNSの利用が学力低下につながりかねないということである。SNSはいつだれとでも会話を楽しめ、暇つぶしとしても有効である。そのことにより、大学生が講義中に「暇」だと考えてしまえば、すぐに使用してしまう。

主張
SNSを利用することで大学生の学力は低下している
根拠
論点
  1. スマートフォン普及前後で大学生の学力は変化したか
  2. SNSの利用程度により学力は変化するか
エヴィデンスと研究方法
  • 大学生の学力を示す指標を定める-理論研究
  • 学力を年次比較できるデータを探す-量的調査
  • SNSの利用程度による学力の群比較を行う-量的調査