SPSS 平均の差の検定 対応あるサンプル
2つの集団の平均を比較したいときには、各々のサンプルの平均値に差があるといえるかどうかについての検定を行う。
スマートフォン利用時間の変化に関する調査データ(架空データ)を用いる。
ある大学で学生の一日あたりのスマートフォンの利用時間を調査した。学生を無作為で50人抽出し、一週間の平均利用時間を記録する。
調査は同じ学生を対象にある人気ゲームアプリリリース前と後の二回実施し、その結果をまとめた(架空調査)。
このデータから人気ゲームアプリリリースの前後でスマホ利用時間が増えたと言えるか。
分析手順
![リリース前とリリース後](/weblesson/statistics/image/spss/t-test100.png)
図のように行ごとのデータがペアとして扱える場合には「対応あるサンプル」として平均値の差の検定を行う。
![「分析(A)」→「平均の比較(M)」→「対応あるサンプルのt検定(P)」](/weblesson/statistics/image/spss/t-test101.png)
「分析(A)」→「平均の比較(M)」→「対応あるサンプルのt検定(P)」。
![対応あるサンプルのt検定](/weblesson/statistics/image/spss/t-test102.png)
比較したいサンプルの変数を「変数1」と「変数2」に指定する。
有意水準の設定は「オプション」から。一般的には初期値の.95でよい。
出力結果
![ビューアの出力結果(t検定)](/weblesson/statistics/image/spss/t-test103.png)
- 平均の差の検定
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- 検定統計量t:「t値」-8.688
- 自由度df:「自由度」49
- p(≠):「対応サンプルの検定」の「有意確率(両側)」.000
p(<):有意確率(両側).000 / 2 → .000
※アプリリリースの影響を知りたい。アプリに関心がない人は利用時間に影響もない。関心があって利用時間が減るというケースが想定可能かどうかで片側検定か両側検定かの判断が分かれる。
- 効果量
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- 効果量d: 「平均値」-14.260 / 「標準偏差」11.605 → -1.229
- 効果量r: SQRT(「t値」-8.688^2/(「t値」-8.688^2+「自由度」49)) → 0.779
シンタックス
*対応あるサンプルのt検定. *変数1→リリース前. *変数2→リリース後. *信頼区間のパーセント→.95. T-TEST PAIRS=リリース前 WITH リリース後 (PAIRED) /CRITERIA=CI(.9500) .
考察例
リリース前の平均利用時間は183.40、リリース後の平均利用時間は197.66であり、リリース後のほうが利用時間が長いという結果が得られた。
リリース前とリリース後に利用時間に差があるといえるかどうか対応あるデータの平均の差の検定(片側)を行ったところ、1%水準で有意差が見られた(t(49)=-8.69, p<.01, r=0.78)。また効果量よりこの差は十分大きいといって良い。
この結果より人気アプリリリースによりスマホ利用時間は増えたと言える。