ライティング実習2B 2組

2022年度 後期 火03 13:30-15:00 瀬田6-B108L

1-14 外来語と専門用語を扱う

外来語をカタカナで用いるか、漢語などに置き換えるかは当該分野の慣習に従う(その分野の専門用語(technical term)は正確に覚える)。定見がない場合はなるべく分かりやすい日本語に置き換えた上で原語を括弧付けで記述すると良い。

例:言説(discourse)は言表(énoncé)の総体である。

専門用語を駆使して対話がなされている言説空間はその外部の人間の参入を妨げ、排他的に見られる傾向を持つ。「開かれた」言説空間を作る上では専門用語の使用は控えめにしたほうがよいのは確かである。

しかし専門用語を「分かりやすい言葉」に置き換えるのは必ずしも良いことばかりではない。専門用語がその世界で用いられてきたのにはそれ相当の歴史や文脈がある。そうした蓄積や経緯を踏まえているのといないのとでは議論の質に大きな差が出る。分かりやすさにかまけて専門的な議論を軽視するのは「反知性主義」である。

課題1

課題1-漢語
以下の文章のカタカナをすべて漢語に修正せよ。
課題1-完成
カタカナを用いたままの方が良いと判断した場合はそれを復活させて文章を完成させよ。

まず、商品コンテンツから紹介したい。シリーズ群の特徴は、「無理なく始められ」、「楽しく継続でき」、「効果が上がる」の3ステップ。料金は 1 シリーズあたり5000円からと、”良質なコンテンツを手軽に安く”をモットーに提供している。シリーズは以下の4カテゴリ、20シリーズを用意しており、それぞれのニーズに応じてシリーズを選択して利用できる。

  • ベーシック系5シリーズ
  • スタンダード系10シリーズ
  • スペシャル系2シリーズ
  • オールマイティ系3シリーズ

さらに、スタッフは、ユーザーとのコミュニケーションを大切にすることをコンセプトにしている。フリートーキングというメリットを生かしてカテゴライズしたシリーズ群なのである。

漢語作成例表示

漢語のみ

まず、商品の内容から紹介したい。課程群の特徴は、「無理なく始められ」、「楽しく継続でき」、「効果が上がる」の3段階。料金は1課程あたり5000円からと、”良質な内容を手軽に安く”を標語に提供している。課程は以下の4分類、20課程を用意しており、それぞれの需要に応じて課程を選択して利用できる。

  • 基礎系5課程
  • 標準系10課程
  • 専門系2課程
  • 総合系3課程

さらに、担当者は、利用者との意思疎通を大切にすることを基本理念にしている。自由対話という利点を生かして分類した課程群なのである。

「シリーズ」をどう漢語にするかが難しい。教育分野におけるひとまとまりという文脈から「課程」という漢語をひねり出してみた。

解答例表示

完成

まず、商品コンテンツから紹介したい。課程群の特徴は、「無理なく始められ」、「楽しく継続でき」、「効果が上がる」の3段階。料金は1課程あたり5000円からと、”良質なコンテンツを手軽に安く”をモットーに提供している。課程は以下の4カテゴリ、20課程を用意しており、それぞれのニーズに応じて課程を選択して利用できる。

  • ベーシック系5課程
  • スタンダード系10課程
  • スペシャル系2課程
  • オールマイティ系3課程

さらに、スタッフは、ユーザーとのコミュニケーションを大切にすることをコンセプトにしている。フリートーキングというメリットを生かして分類した課程群なのである。

もとの文章は確かにカタカナが多いが、案外「そんなもの」である。

課題2

以下の文章で専門用語など用語の使い方が間違っている箇所を指摘し、修正せよ。

  1. (「社会学は、社会現象の実態や、現象の起こる原因に関するメカニズム(因果関係)を統計・データなどを用いて分析することで解明する学問である」という引用を受けて)
    スマホが広まることで大学教育が何か変わるのが社会現象なのだろう。どう変化したかというのが実体で、そういう変化がなぜもたらされたのかが因果関係でそういうことを統計とかデータを用いて分析する必要がある。その変化というのがどの程度の規模なのか?生徒や先生の関係性に注目するのがミクロレベルで教育制度とか産業構造がどうとかまで考えるのがマイクロレベルなのかなと思った。
  2. あとスマホを授業で使わないのはスマホを持っている生徒と持っていない生徒との格差問題があるという。デジタルデバイスというのが問題で、平等に教育を施すにはどうするかという問題がここには横たわっているという。

解答例表示

解答例2

  1. スマホスマートフォンが広まることで大学教育が何か変わるのが社会現象なのだろう。どう変化したかというのが実体実態で、そういう変化がなぜもたらされたのかが因果関係でそういうことを統計とかデータを用いて分析する必要がある。その変化というのがどの程度の規模なのか?生徒学生先生教員の関係性に注目するのがミクロレベルで教育制度とか産業構造がどうとかまで考えるのがマイクロマクロレベルなのかなと思った。
  2. あとスマホスマートフォンを授業で使わないのはスマホスマートフォンを持っている生徒と持っていない生徒との格差問題があるという。デジタルデバイスデジタルデバイドというのが問題で、平等に教育を施すにはどうするかという問題がここには横たわっているという。
  • 「先生」は「お母さん」と同じく相対的な立場を示す言葉である。
  • 大学生は「生徒」ではなく「学生」である。