SPSS操作マニュアル

SPSS 二元配置要因分散分析

大学生の自習時間に関する学部別学年別調査データ(架空データ)を用いる。

ある大学で学生の一日あたりの平均自習時間を調査した。学生を学部ごと、学年ごとに無作為で4人抽出し、1ヶ月の平均時間を調査した。

このデータから学部・学年の違いが自習時間に影響するかどうかついて分析せよ。

データの準備

今回のカテゴリ変数「faculty」と「grade」に関しては「連続数への再割り当て(A)」を行う。

再割り当て後

再割り当てを行った後の「faculty2」「grade2」を因子として用いる。

分析手順

「分析(A)」→「一般線形モデル(G)」→「1変量(U)」

「分析(A)」→「一般線形モデル(G)」→「1変量(U)」。

1変量

比較する平均値を計算する元のデータを「従属変数」に。集団を識別するカテゴリー変数を「固定因子」に選択する。この時先に変換した変数を選択する。

「オプション」をクリックする

1変量:オプション

学部faculty2、学年grade2、そしてその掛け合わせfaculty2*grade2を選択して「平均値の表示」に。「主効果の比較」にチェックを入れて「信頼区間の調整」で「bonferroni」を選ぶ。「続行」。

「作図」をクリックする。

1変量:プロファイルのプロット

「横軸」と「線の定義変数」を各々選び(どちらをどちらにするかは文脈による)、「追加」→「続行」。

「1変量」の画面で「OK」ではなく、「貼り付け」をクリック。

「シンタックスエディタ」が起動する。

以下の部分を

 /EMMEANS=TABLES(faculty2*grade2)

以下のように書き換える。

 /EMMEANS=TABLES(faculty2*grade2) compare(faculty2) adj(bonferroni) 
 /EMMEANS=TABLES(faculty2*grade2) compare(grade2) adj(bonferroni) 
1変量:プロファイルのプロット

「実行」→「すべて」

出力結果

プロット

ビューアの出力結果・プロファイルプロット

分散分析

ビューアの出力結果・被験者間効果の検定
  • 学部「faculty2」の「有意確率」が.025で有意(「F値」3.015、「自由度」4, 60)→学部間で平均に差がある。
  • 学年「grade2」の「有意確率」が.005で有意(「F値」4.682、「自由度」3, 60)→学年間で平均に差がある。
  • 学部学年の交互作用「faculty2*grade2」の「有意確率」が.020で有意(「F値」2.247、「自由度」12, 60)→交互作用が見られる。

学部についての多重比較検定

ビューアの出力結果・faculty2ペアごとの比較
  • 法学部と理工学部の間に差がある。

学年についての多重比較検定

ビューアの出力結果・grade2ペアごとの比較
  • 1回生と4回生の間に差がある。
  • 2回生と4回生の間に差がある。

単純主効果

ビューアの出力結果・faculty2*grade21変量検定
  • 4回生において学部間に差がある。
ビューアの出力結果・faculty2*grade21変量検定
  • 経済学部・法学部・社会学部において学年間に差がある。

4回生での学部についての多重比較検定

ビューアの出力結果・faculty2*grade2ペアごとの比較
  • 4回生の中では理工学部と経済学部・法学部・社会学部において差がある。

経済学部、法学部、社会学部での学年についての多重比較検定

ビューアの出力結果・faculty2*grade2ペアごとの比較 ビューアの出力結果・その後の検定
  • 経済学部においては1回生と4回生の間に差がある。
  • 法学部においては1回生と4回生の間に差がある。
  • 社会学部においては2回生と4回生の間に差がある。

シンタックス

* Encoding: UTF-8.
* 連続数の割り当て.
AUTORECODE VARIABLES=faculty grade 
  /INTO faculty2 grade2 
  /PRINT. 
faculty into faculty2 
Old Value   New Value  Value Label 
 
economy             1  economy 
law                 2  law 
literature          3  literature 
science             4  science 
sociology           5  sociology 
 
grade into grade2 
Old Value  New Value  Value Label 
 
1st                1  1st 
2nd                2  2nd 
3rd                3  3rd 
4th                4  4th 

*二元配置分散分析.
UNIANOVA time BY faculty2 grade2
  /METHOD=SSTYPE(3)
  /INTERCEPT=INCLUDE
  /PLOT=PROFILE(grade2*faculty2)
  /EMMEANS=TABLES(faculty2) COMPARE ADJ(BONFERRONI)
  /EMMEANS=TABLES(grade2) COMPARE ADJ(BONFERRONI)
  /EMMEANS=TABLES(faculty2*grade2) compare(faculty2) adj(bonferroni) 
  /EMMEANS=TABLES(faculty2*grade2) compare(grade2) adj(bonferroni) 
  /CRITERIA=ALPHA(.05)
  /DESIGN=faculty2 grade2 faculty2*grade2.

考察例

学年、学部双方の主効果において5%水準で有意性が見られた(学年 F(3,60)=4.68, p<.01、学部 F(4,60)=3.02, p<.05)。

また学年と学部の交互作用においても5%水準で有意であった(F(12,60)=2.25, p<.05)。

この結果より学年・学部の違いにより自習時間に影響があり、さらに学部と学年の組合せによっても自習時間に影響が出ることが分かる。

事後検定より学部間では法学部と理工学部に自習時間に差があり、1,2回生と4回生でも異なっていることが分かる。

さらに4回生時の理工学部は文学部以外の他学部より自習時間は多く、また経済学部・法学部・社会学部は4回生になると1回生(経済法)または2回生(社会)と比較して自習時間が減少していることが分かる。